Aquarist’s blog

Aquaristは作家で構成される組織です。

編集者は鬼か? 漫画編集者の仕事について考える 

漫画編集者の仕事とは

漫画家はもちろんマンガを描く人です。

じゃあ、漫画編集者とは、マンガを編集する人なの?

といえば、それほど単純な話ではないらしい……

 

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<編集者になる方法>

出版社や編集プロダクションに就職し、漫画部門に配属されるというのが流れです。

集英社や、小学館など漫画雑誌を発刊しているところに就職すれば

漫画に関われる可能性は自ずと上がるでしょう。

 

ただし、有名な出版社はそれだけ競争率も高く、

倍率数百倍など、狭き門。

 

出版社の下請けである編集プロダクションは

アルバイトとしても働けるので、実績を残すことができれば

キャリアアップも望めます。

出版社、編集プロダクションを経て、フリーランスで活躍する人もいるそうです。

 

<仕事内容>

漫画家から原稿を受け取り、出版社に持っていく、

イメージとしては作家と会社の橋渡し的存在です。

 

出版社に持って行った後に校正や広告をいれたり、

作品を商品にするための作業を行います。

 

他にもマーケティング内容(港で人気のある作風)を作家に伝えたり、

漫画家が提示するプロットに

いわゆる「ボツ出し」やアドバイスをするなど

直接作品に関わる発言もします。

 

作家にとっては編集者がOKを出したものしか世に出せないので、

編集者が最初の関門といってもいいでしょう。

 

<編集者は恐ろしい?>

漫画家を題材にしたマンガというのはいくつかありますが、

そこで描かれる編集者は決してやさしくはありません。

ネットで調べてみてもちらほら編集者と漫画家との不和が聞こえてくる。

でも、実際のところはどうなのでしょうか。

 

花咲さんの就活日記(1) (IKKI COMIX)

花咲さんの就活日記(1) (IKKI COMIX)

 

 漫画家を目指し、気が付けば31歳の花咲さん。

諦めようか、夢を目指そうかと悩むけれど、やっぱり漫画が好き。

 

マンガのなかで花咲さんに立ちはだかる最大の壁、それはマンガ編集者だ。実は花咲さん、一度は連載のチャンスをつかんだものの、「なんか、君ってテンション低くない…? 女性なんだからもっと明るくなれないかなぁ? 何? 何か言いたいの?」とネチネチ作品には関係ないことまで口出ししてくる編集者に負け、出版社から逃げ出してしまったのだ。

 

これは漫画ですが、漫画家VS出版社という構図です。

 

 

漫画貧乏

漫画貧乏

 

 「ブラックジャックによろしく」で知られる佐藤秀峰さんが

赤裸々に漫画業界を切ります。

この本は漫画界の暴露本としても有名です。

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 やっぱり編集者は怖い存在なのでしょうか?

でもこんな漫画もありますよ。

 

バクマン。 1stシリーズ DVD-SET

バクマン。 1stシリーズ DVD-SET

 

 

 あまりにも有名な漫画マンガの『バクマン。

 

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時には厳しく、時には熱く漫画に関わる編集者の姿が見ることのできる漫画です。

漫画に登場する編集者には実在のモデルもいらっしゃるそうですよ。

 

 それから『進撃の巨人』の編集者だった川窪慎太郎さんのインタビュー。

 

 

――編集者として大切にしていることは

編集者になって9年ほどになりますが、漫画家として一番大切なのは絵の上手さじゃなくて「何を描きたいか」ということだと思っています。

(中略)

描きたいものを漫画家さんと一緒に見つけるのも、編集者として必要なことだと思います。ベテランの漫画家さんになると描きたいことが分かっているのですが、新人の漫画家さんはそもそも「何を描けばいいか」もよく分からないことが多い。まずは本当に描きたいことを一緒に考えながら見つける作業を手伝います。

具体的には、漫画家さんと漫画以外のことを話すことが大切です。いつも何を考えているか、好きなものは何か、何が嫌いかなど人間的な部分を聞いてあげる。話している最中に漫画家さんが描きたいことに気付くことがあるんですよ。難しい作業ですし、自分が上手く引き出せているのかも分かりません。毎回試行錯誤してやっています。

 

 編集者も人である。

 今回のタイトルは「編集者は鬼か?」でしたが、

決してそんなことはありません。

編集者もまた人です。

人であるからこそ、またトラブルも起こるのではないでしょうか。

 

ただ、その組織の構造上、漫画家が編集者を選ぶことはできません。

連載するかどうかの権限も編集者がもっています。

 

作家は作品に当たり前に思い入れがあります。

そこで生じるトラブル程、後味の悪いものはありません。

人と人が魂を込める作品の関わりあいだからこそ、

礼に即した仕事を望んでしまいます。

 

この記事の最後に、

平成20年度に漫画家、雷句誠さんが

小学館の編集者が原稿を紛失したことに対して

小学館を提訴した際の陳述書の一部を抜粋し記載します。

 

(2)また、本訴は、漫画家が、編集者、出版社から、あまりにも対等でない扱いを受け続けていることに対して、一種の警鐘を鳴らすものである。
    漫画家の報酬は、全て後払いである。つまり、自腹を切って、アシスタントを雇い、仕事場を確保し、締め切りに追われて原稿を仕上げ、作品が雑誌に掲載された後に初めて報酬をもらうという、極めて不安定な状態である。例えば、連載の仕事をしたとしても、報酬が全て後払いであるため、出版社、編集者からすれば、無理難題を押しつけても、それに従わないとアシスタントたちに払う給料を確保できない漫画家の足元を見て、いじめが横行するのである。この構図は、漫画家が売れたとしても余り変わるものではなく、一般的に両者の間には圧倒的な力の差が存在しているのである。

 

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