漫画家が育たない?
「漫画が売れなくなっている」
なんて話をよく聞くようになったけれど、
書店にはやっぱり沢山のコミックが並べられているし……
実際のところどうなのでしょうか?
今回はそこのところを詳しく調べてみようと思います。
■ 漫画は本当に売れていない?
「2014 出版指標 年報」より
上のグラフを見ると、確かにコミック誌(マンガ雑誌)の売り上げは95年あたりをピークに低下しています。
けれど、コミック(単行本)の売り上げはほぼ横ばい……
これはつまり、
単にマンガ雑誌が売れなくなっただけじゃないか!
しかし
「なぜマンガ業界が不況だなんて声が聞こえてくるんだろう……?」
なんていう新たな疑問が湧いて出ます。
そこでさらに調べていくと今度はこのようなグラフを見つけました。
これは書店が所謂「新刊」を売り出す量です。
つまり、年々、販売される本の種類は増え続けてき、
購入される本の数は変わっていないということです。
ということは……どういうことなのでしょう?
■ 売れない漫画が増えている!?
売れる数は一定、売れる数は増加しているから、
単純なタスヒク計算で売れない本の数は増えるはずです。
実際に次のようなデーターが見つかりました。
「メディア産業論 第3回:出版~課題と解決策 宿南 達志郎」
※引用として提示していますが、問題がある場合はご連絡ください。
本の返品率・・・書店に並んだ書籍(雑誌)の内、一定期間の陳列が終わり、在庫化したため、出版社に返却された書籍の割合。
漫画関連の返品率が大きく増加していることが分かります。
漫画家の主な収入源は
印税+原稿料
ですから、単行本が売れないのは致命的でしょう。
さらに、漫画雑誌は売れ行き不調でどんどん休刊が増えています。
連載をもって間もない新人作家にとっては非常に厳しい状況であるともいえるのではないでしょうか。
■ 漫画家を育てる土壌が消えつつある!?
漫画家の鈴木みそ先生が漫画家志望者から
「新人漫画家はどうしたらいいか」という質問を受けてこう答えていました。
新人は育ちにくくなっている。それは育成システムとしての出版社に余裕が無くなってしまったことが大きな要因。
出版社が新人を育てるというのは、まだ発表できないレベルの新人に、描かせて、アシスタント経験をさせて、ある程度のレベルまで引き上げるサポートをする、ということ。単行本を出せるくらいになったら、育ったといえるでしょう。そういう、コストをかけて育てていくシステムが崩れてきてしまった。もう出版社は新人を育てない。勝手に育つのを待つだけ。
引用元: http://www.mag2.com/p/news/28749
引用なので全文は書きませんが、リンク元をたどると読めます。
これ、マンガ家志望者にはかな~り痛い話だと思います。
いや、あらゆる作家志望者には痛い話です。
(私も心臓がきゅっとなりました)
けれども、さすが現役漫画家さんのお話だけあって、
考えさせられる内容であることは間違いありません。
デビューまでを目指して漫画を描いていても
その先にまた長い道のりがあるわけですからね。
その環境の中を自力で育っていくのは精神面、金銭面、体力面で
無理とは絶対に言いませんが、厳しい状況なのでしょう。
■ 集団の力ってやっぱりあると思うんです。
今回は「新人マンガ家は育たない」という内容でしたが、
育たないという断言は誰にもできません。
今このときも努力を重ねて成長している作家さんはたくさんいらっしゃいます。
けれどもその環境が、成長を促すものなのか、妨げるものなのか
といえば、それは後者なのではないかとも、やはり感じています。
でもその環境を、もっと良いものにできるはず。
という想いがAquaristの設立理由です。
Aquaristは作家が集まった組織です。
理念は色々ありますが、簡単に言えば、
みんなで力を合わせれば、
もっと楽しいし大きなことができるよ!
という考え方です。
勉強だって一人でやると長く続かないけど
みんなで励ましあいながらやると続くものですよね。
詳しい詳細は別記事に譲りますが、
一人でも多くの方に私たちの活動を知っていただければ
幸いです。
拝読ありがとうございました。
2016.04.09 Aquarist -Kana-